日本政府が推進するデジタル社会について
令和3年、日本におけるデジタル社会を形成するためにデジタル庁が設置され、ここに大臣として河野太郎さんが任命されているわけですが、この方が現在もっとも推進しているのがマイナンバーカードの普及です。
今回はこのマイナンバーカードについての現状と私が思うことを少し書いてみたいと思いますが、これは政治に興味があるとか無いとかの話ではなく間違いなく全国民に関係する問題なので知っておくべき話だと思います。
ちなみにこのマイナンバーカード、すでに持っている方も多いかと思いますが、実際には持つかどうかの判断は義務ではなく“任意”となっていますので、持っていない方もいるのが当たり前の状況です。で、そこを前提とした上で現在デジタル庁がいわば“ゴリ押し”しているのがマイナンバーカードと保険証の一体化、いわゆるマイナ保険証です。
ご存じない方も多いように感じますが、従来の保険証は年内廃止が決定しています。ですが、そもそもマイナンバーカードの取得が任意であるのに従来の保険証を廃止するというのはマイナンバーカードの取得どころか保険証の登録まで強制することと同じなわけで、これに違和感を感じませんか?
もっとひどいのは従来の保険証廃止がいつどこで決定したのかが定かではない点で、河野大臣は「協議の中でそういうことにした」としか答えず、当然ながら議事録すら出てこないわけです。これ、本当に信じられないような話じゃないですか?
「岸田総理と河野大臣が立ち話で決めた」なんてことではないとは思いますが(笑)
で、このマイナ保険証について河野大臣はひたすら“より良い医療が受けられる”という“利便性”ばかりを強調していますが、確かに受診する病院が変わっても治療状況や投薬の情報が得られるというのは良いことですが、それも直近で1カ月前の情報しか分からないと言われています。
つまり1週間前に受診した情報であれば出てこないわけですから「だったら患者自身が口で説明すれば良いのでは?」という意見も出るわけで、投薬についても「お薬手帳があるよね?」って話になるわけです。
ま、確かに便利じゃないとは言いませんが“利便性”以上の“危険性”の方が多いというのが現状ではないでしょうか?
まず、これまでのマイナンバーカードのトラブルを挙げると
・他人の住民票や戸籍票が出てきた。
・抹消済みの印鑑証明書が出てきた。
・病院で別人の医療データが出てきた。
・別人の口座が登録されていた。
・マイナポイントが別人に付与されていた。
・マイナポータルで別人の年金記録が閲覧された。
などなど、多くの個人情報が流出されるというトラブルが相次ぎました。言ってしまえば間違いなく個人情報の漏洩リスクは格段に上がったわけです。
それにも関わらず河野大臣は「総点検をやれば大丈夫です」と意に介さないといった口調で答えていましたが、実際にやるのは全国の自治体職員が目視でおこなうという大変なアナログ作業だったわけで・・・そりゃ大変だっただろうなと。
確かに「自治体職員はそれが仕事だろ?」という声もあるでしょうが、そもそもはやる必要の無い、いわば突然降って湧いたような仕事ですからね(笑)
それを理解した上で自治体職員の方々には申し訳ないのですが、国民からすると「総点検したからもう大丈夫だ。保険証を登録しよう!」なんてことにはなるはずもないわけで「まだ安心できない」とか「もう少し様子をみよう」というのが本音じゃないでしょうか?
だからこそ、一向に利用率が上がらないことに対してこれといった驚きは無いかと思うのですが、当の河野大臣からすると「なぜ利用率が上がらないかが理解できない」という捉え方のようで、私からすると“なんで分からないのかが分からない”といった感じです(笑)
で、ここにきて先日は“偽造”マイナンバーカードを利用した本人確認で犯罪まで起きています。内容としては身に覚えのないスマホの機種変更やPayPayチャージ、さらには200万以上のロレックスを購入していたという、皮肉にもこういう犯罪に対する利便性?もあるわけですよね。
この事件に対しても堂々とした“河野節”を発しているわけですが
「カード右上のマイナちゃんがパールインキで印刷されており、偽物は色が変わらないからすぐに分かる」ということで、これを事業者向けに文書を配布するそうですが・・・真っ先に出てくる偽造かどうかを見抜く判断はそれなの?という(笑)
これでは、さすがに「まるでコントのような話だ」という批判の声が多いのも頷ける話ではあります。
本当にこれを河野大臣がウケ狙いで言ってるならセンスを感じますが、真顔で言われると少し恐怖すら感じますよね・・・
ただ、真面目な話でいえば日本におけるデジタル社会の推進を担うデジタル庁という組織が“これ以上でもなければ、これ以下でもない”レベルということで、これで安心して国民は利用できますか?というところが問題となっているわけです。
まず、そもそも論から言って従来の保険証で困ってる人っているんですかね?
普通に考えて従来の保険証であれば申請の必要もなくプッシュ型で送付されてくるわけですが、ご承知の通りマイナンバーカードは本人申請が必要となります。
特に多くのご年配の方々が対象になるかと思いますが、いつまでも健康で自らが申請に行けるかと言えばそうではない話で、身体に障害を持つ方もいれば、すでに介護認定を受けているような様々な状況の方がいるわけで、そんな方々に本人が申請に来てくださいねと言えるのか?と。
これを追及されたら「マイナ保険証の代わりとなる“資格確認証”をプッシュ型で送付することも検討する」などと、その場しのぎの代替え案みたいなこと言ってますが、それじゃ従来の保険証を送付するのと同じじゃないですか。
また、医療機関によっては回線整備の遅れもありマイナ保険証が利用できない場合も想定されていて、その地域の方には“資格情報のお知らせ”とやらを送ることで保険証の代わりとするらしいのですが、この時点で従来の保険証なら1種類だったものがデジタル化を推進することで3種類になりますって話で、何か問題点が起きる度に増えているんですね。これがもっと進めば4種類とか5種類とかになっていく恐れもあって、その度に医療機関側にあらゆる対応が求められるということになれば、まさに本末転倒ではないですか?
とにかく野党から追及されて初めて気付くことばかりで「そこは検討いたします」という回答を連発する厚生労働省には“どうなの?”といった状況で、これもすべては保険証の“廃止ありき”で突き進んでいるのが原因なのは明らかですよね。
ちなみに保険証だけではなく近い将来、運転免許証もマイナンバーカードと一本化を目指しているわけですが、本当に大丈夫ですかね?
警察は毎日カードリーダーを持ち歩きながら交通違反者の免許証確認をやるの?
仮にそこでカードリーダーで読み取れない場合は警察署に連行されるとか?(笑)
このカードリーダーの読み取りエラーは現実に医療機関では頻繁に起こっている問題ですからね。それってすごく非効率な話ですし、それこそそこは目視だろ?って話ですよね。
ただただマイナンバー、保険証、運転免許証の3つが1枚になるから「デジタル化だ」とか「利便性が上がる」なんて思い込んでるとしたら大間違いで、逆にこれ1枚紛失すると3つ同時に紛失するわけですよね?当然ながら(笑)
で、再発行には身分証明書を提示する必要があるのですが「何を提示するの?」ってなるわけで、パスポートでも持っていれば良いでしょうが、持っていない人は何を提示するんでしょうかね?
さらに言えばマイナンバーカードの発行には1ヶ月掛かると言われています。もちろん、その間は車の運転ができないことになりますが、運送業の方はそれで大丈夫?ってことにもなるわけです。
これ、結構なリスクじゃないですか? ある意味、死活問題の方も多いのではないでしょうか?
もちろん、日本のデジタル化においてすべてを否定するわけではないですが、もう少し基盤整備を十分におこなってから導入すべきかと私は思いますし、あまりに急ぎ過ぎるとこれまで以上の混乱が予想されます。
というより必ず混乱が起きます(笑)
ぜひ河野大臣には“実行力”と“ゴリ押し”をはき違えないように願いたいものです。
2024年05月15日 00:05